第4回「祐司と龍雄」
ここは、富山県にある印刷工場近くの立ち飲み屋。
気の合う仲間同士の常連さんでいつも賑わっている酒場。いよいよ桜も見ごろを迎え、ようやく春めいてきたように感じられますが、常連客はあいも変わらずビールに熱燗と、季節感もなく楽しそうに一日の疲れを癒しているようです。
おや、常連の裕司と龍雄がビールにおでんという熱いのか寒いのかわからない取り合わせで何やら今日の印刷の話をしていますねえ。聞きなれない言葉も出ているようなので、少し聞き耳を立ててみましょう。
裕司:
今日は富山上本学園の新入学生のパンフレットの印刷だったな。
龍雄:
やっぱり新入学生のパンフレットって言えば、表紙は桜の写真だよな。
桜の花のみずみずしさ、透明感を如何に活き活きときれいに見せるか、俺たちの腕の見せ所だよ。
裕司:
ピカピカの一年生には「この学校に入学してよかった」って思わせるようなきれいな印刷を見せてあげたいな。
龍雄:
まったく。入学案内や会社のパンフレットは、印刷のあがりに特に気を使うことが多いけど、印刷ならではの味わいのある刷り物を残していかないとな。
裕司:
営業からよく「印刷品質重要視」みたいな連絡があるけど、印刷品質と言えば、ふだんあんまり使わない言葉を良く使うよね。
龍雄:
そうだなあ。印刷業界って印刷品質について、表現の仕方に独特の言い方があるから。
裕司:
俺、代表的な言葉で気に入ってる表現があるんだけど。
龍雄:
なんだよ。
裕司:
肉汁のしたたるステーキやコップに付いた水滴なんかのみずみずしさを表現する時『シズル感』って言葉を使うだろ。よく意味もわかってないけど、言葉の響きがどこか好きなんだ。
龍雄:
シズル感か。俺もその言葉好きだよ。
だけど会社以外じゃ使うことはまずないから、独特の業界用語なんだろうな。
裕司:
俺達、知らず知らずのうちに業界に染まってるな。
龍雄:
ああ、ずっと印刷ばっかりやってるから、完全に印刷業界に染まってるよ。
裕司:
毎日印刷の仕事して、毎晩帰りにこうやって酒を飲むだけのワンパターンな生活で、言葉も富山弁しかわからない、っていうんじゃダメだな。もっと視野を拡げて生きていかないと。
龍雄:
突然何を言い出すんだ。
裕司:
これからは、もっとグローバルな目線で、ダイバーシティの考え方を取り込んで、ワールドワイドに生きていかないとな。
龍雄:
おまえ、聞いたことがある難しい言葉を無理矢理並べてしゃべるなよ。
意味わかってないんだろ。
裕司:
まあ、いいじゃない。
このおでんを印刷で美味しそうに見せる方法を考えながら、グラスをしたたる『シズル感』たっぷりな生ビールで、乾杯!
最近よくグルメ番組などで耳にする「シズル感」。じつは印刷用語だったようです。
印刷業界に限らず各業界特有の言葉は日常会話の中で使われていることが多々あります。業界用語を一般の皆さんが使っていると業界人としては誇らしげに思うことがあると思います。
チューエツも印刷物作成に誇りを持って仕事をしています。
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